あふれる舞人生

あふれる舞人生

容姿は想像し


申し訳なさでたまらなくなり、美花を抱き寄せて腕に力を込めた。
この包容を美花はどう感じるのだろう。
あんな想いは二度としたくないし、させたくない、とこっそり誓う。
この気持ちは伝わっているだろうか。

「君も子どもを撮るんだな」
「えへへ… 偉大な日向先輩の真似事なんです」

「おれの物業二按?」
「ええ。もともと子どもとか天使とかフェアリーなものが好きだったんですけれど、それがいつのまにか作品や被写体の中心になっているんです。わたしの中で先輩の影響は意外と大きいみたいです」

「そうか… じゃあ、5年くらい前からおれの写真の追体験をしていたのか。おれという実態のない偶像に憧れていたというのはまんざら嘘ではなかったんだな」

「ええ… まさか紹介された結婚相手がそうだなんて、本当に驚いたし嬉しかったです。想像通りの素敵な人だといいなあって期待したし」
「現実に会ってみて、呆れただろう? 全然違ってたから」

「う~ん… 葵さんのてた通りだったんですけれど、わたしの顔を見てくれなかったから嫌がられているんだなって分かって、それがショックだった…かな。まだ知り合ってもないのに恋をする前に玉砕… みたいな感じ? えへへ」

「済まない。その時、ちゃんと君を見て話をすればよかった」
「いいんです。却って恋の自覚がはっきりできましたから… あ… 」

「おれに恋を? それはいつと聞いてもいいのか優纖美容?」
「葵さんのマンションで、珈琲を飲んでいる時にキスをしてくれたでしょう? すごく優しい… その時… わたし恋してるって思いました」

「そうか… おれは… 君に対して感じている感情が恋という名前のものなのか自分では分からない。済まなく思うがいい加減なことは言いたくない。おれはこれまでそういう経験がないんだ。とにかく女という存在が嫌いだったから…」

「えっと… 葵さん、今もわたしのこと嫌いですか?」
「いや、嫌いじゃない。それははっきりと言える」

「じゃあ、それで十分です」
「それでいいのか? 好きと言って欲しくないのか?」

「葵さんが言いたくなったらその時に言ってください。喜んで聞きます。楽しみはちょっとずつの方が嬉しいですから…」
美花は淡いピンクローズのような頬をして微笑みかけた。

ー 君って子は…
どうしてそんなに欲がないのだろう。
自分の恋する男の心を全て欲しいと、普通は思うものじゃないんだろうか蘇家興
そうして欲しいと思うおれは、こんなに欲張りなのに…