あふれる舞人生

あふれる舞人生

た重大問題であ

 では俺は何に腹を立てていたのか。それは言うまでもなく、たまもにであった。
 それは遡ること、俺達ふたりがこの喫茶店の出入り口ドアを潜って間もない時から始まっていた。
 狐というものは遠慮という言葉をしらないのか、はたまた白面金毛九尾というものがそうなのか。このたまもときたら、学生アルバイト風のウェイトレスから窓際のテーブル席に案内されるや否や、そのメニューを物色し次々と注文。あっという間にテーブルの上を各種料理で埋め尽くさせてしまったのである。それこそ一分の迷いもないといった感じで謝偉業醫生
 一介の高校生でしかない俺がこの支払を賄うと考えたら、これは由々しき事態である。この時点で既に俺の胸中では火種が燻り始めていた。とは言え、それでもこれは自分の命が掛かっる。命の重みと財布の重さ、どちらが大事かと言えば、やはり命である。時にそれが問題解決に必要な経費であるならば、財布の紐を緩めるのも必要不可欠な生きる術である。つまりは、これはきっかけに過ぎず真に問題があったのは、このあとの事であったのだ謝偉業醫生
 品物の数々を運んできたウェイトレスが少し疲れた様子で軽くお辞儀をしてはけて行くのをよそに、たまもはもしゃもしゃと食事を開始した。彼女の食べっぷりは、それはもう見事なものであり、育ち盛りの屈強な体育会系男子でも完食は難しいと思われる量の料理の数々を見る見るうちに平らげていく。完食まで、まさにあっという間の出来事であった。満足そうに腹を擦りながら「ふぃ~」と息を洩らすその姿にはある種の貫禄さえ備わって見えたくらいだ。
 そして問題が起こった。正確には問題発言があったと言うべきか。
「あ、そうそう。その呪いじゃが、妾にはどうにも出来ん」
 不意にたまもがそう言いやがったのだ。それは唇をナポリタンのトマトソースでテカらせながら、事のついでのような言いっぷりだった。
 俺は事態を呑み込めず、呑み込みたくなく、暫く沈黙。ようやく口をついて出たのが「いま何と?」であった劉芷欣醫生
「いや、じゃから。お主の呪いは、妾にはどうにも出来ぬのよ。あっはっはっ」
 返って来たのは呑気に高笑いまで見せるたまもの姿。実に不届き千万である。流石に眉根を寄せて荒ぶらずにはいられなかった。
 かくして俺は一旦気持ちを落ち着かせるため、ティーカップに手を伸ばしていたわけだ。